episode 7

待合室で脱がないで

病院の待合室にはいろんな人がいる。ほとんどは患者さんなのだが、TVを観にきているだけの近所のヒマなオヤジ、オバサン連中もいる。また入院患者さんもヒマを持て余すと待合室に集まってくる

待ち時間は確かに長い。診察までに約30分、ときには1時間近くかかることもある。全員が具合が悪くて来ているわけではないが、TVや雑誌も準備されているとはいえ大変だ。たいがい半日仕事になる

「具合も悪くナイ人がなぜそんなに多いのか」と言われそうだが、昨今は「生活習慣病」と呼ばれる慢性疾患での受診者が多いからだ。心臓、高血圧、糖尿病等、日常生活では特に症状が出ない患者。本人の自覚もうすいのが実状だ

そうした患者と一緒に待つことになる急性疾患の患者さん、例えば腹痛、熱発、頭痛、めまい、、、の方は受付で症状をしっかり伝えましょう。具合が悪く待合室で待つ自信のない方は、その旨受付に伝えるましょう。

「急患」扱いにできます

普通は受付の順番通りに診察となるが、医療の現場では「症状順」にも対応しなければならない。本来なら受付者が患者さんの状態を観て「急患」か見分けるべき、しかし全ての患者さんに目を向けられないのも事実。また受付者の眼力にも限りがある。医師と同じようには見立てられません。言い訳になってしまいますが、、、お願いです。しっかりと訴え出ていただきたい

ところで冬場の待合室は危険が一杯。流感、インフルエンザ、、、そうした患者さんが一箇所に、待合室に詰め込まれるからだ。「生活習慣病」の患者さんも一緒だから待合室は一杯となる。そうででない時期と比べれば

定員200%状態

ですが具合が悪いときにはすぐに受診してくださいネ。早い内に治療した方がいいんだから。でも用もなく病院を訪れない方がいい。風邪、インフルエンザの菌やウィルスがウヨウヨだ

今回はマジな話?

前フリが長すぎた、これからが本題だ。そんな待合室で繰り広げられる戦闘の1コマ。受付者は一時の隙もみせてはいけない。ある風邪が流行っていた冬の日、午後。午前中の喧騒が嘘のように静まり返り、空いている待合室に私はつい油断してしまったのだ。フト気づくと異様な光景が目に飛び込んできた。私は自分の目を疑った。待合室のまんなかに、、、

上半身ハダカの女性がぁ?

Tさんはもうすぐ90歳に届こうかというババ。が、至って元気、明治生まれは私たちとは違う、丈夫にできている。友人がこういったことがある。「ヤツらは天然育ち、俺ら養殖育ちが勝てるわけがない」と、ロクな抗生物質もない時代を素で生き延びた彼女たち、予防接種もない時代に素で生き延びた彼女たち、食べ物も添加物などないホンモノのみ食べて育った彼女たち、、、ババ

Tさんもそんな「天然物」の一人、堂々としたもので、待合室で着替えをしてすました顔して待っている

婆!やめてくれー

と叫びはしないが、受付者として放っておくことも出来ない。可能な限り視線を逸らしつつTさんに接近する私。あと10メートル、、敵はまだ私には気づいていない。あと5メートル、、他の患者ー、ヲマエらも注意しろよ!、、、が誰もが不自然な方向に体をねじり、Tさんの姿を目に入れないですむ方向を向いている、、、味方はいない。あと3メートル、、一人で敵と対峙しなければならない。過酷な任務だ。心の中で唱える言葉は、、、

平常心、平常心

なんとか無事にTさんの横に辿り着く
「Tさん、こんな所でハダカになっちゃだめだよ・・・」
「ダイジョブ、ダイジョブ、、、」
「いやここ待合室だから、中で着替えてね、、、」

Tさんニコニコと、曰く

「大丈夫、私なら寒くないから!」

兵隊:「隊長〜、敵は天然でーす」

隊長:「撤収!」

 

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