episode 8

お見舞いの常識 Part1

私はもっぱら病院の外来で働いてきた。うちには入院病棟もあり病棟には病棟事務がいる。超のつくベテランばかりだ。入院費の計算は外来のそれより遙かに高度であるし、金額の桁も違うからプロでないと勤まらない。私など伺い知ることの出来ない世界

外来受付で取り扱うのは入院案内。お見舞いにきた方々に患者さんの病室を案内する。簡単なようで難しい、、、というのは、見舞いに来た方が必ずしも入院患者本人と親しくないからだ。名前すら知らずに来る方がいる

「○○町のヨシちゃんどこ?」
「○○会社の部長さんどちらでしょうか?」

と聞かれても困るんだナ。姓を知らずに来る人が意外と多いゾ。これは結構困る。うちの場合入院台帳は「あいうえお順」になっているのだ

その他、見舞いに来る人の素性を疑いたくなる場合もある。見るからに「ヤ○ザ」屋サンみたいな容姿の方、「オミズ」な容姿な女性もある、、、家族が付き添いに来てる所へそんな方をご案内差し上げてもよろしいものか・・・

お見舞いする際にはいろいろとお作法がある。作法というか注意しなければならないことだ。作法については地域差もあると思うが、注意点はだいたい共通してるだろう、いくつか思いつくものを挙げてみよう

面会の時間を調べておくこと。一般論だが面会時間が決められてることが多い、また時間内であっても午前の時間帯は診察や検査等に当てられることが多い

お見舞いにお菓子等を持ってこられる方は、それを本人が食べられるのか確認しましょう。患者さんに食べ物制限がある場合があるからだ、事前に本人または家族に確認しましょうネ

また患者さんの入院しているのが、相部屋の場合は同室の患者さんのことにも気を配ったほうがよい。患者さん同士で頂き物を分け合うことが多いようですヨ

本人に確認するのが一番

「でもお見舞いにいく本人に聞くのは、、」と躊躇われるかもしれませんが、だからといって病院に聞いてもダメ。本人の病状等について電話等で伝えることは出来ないからネ

後は世間の常識を逸脱しない程度で考えましょう。食べ物がOKでも生モノはさけましょう。花の方が無難ですが一般的に「鉢植え」や花が「散りやすい」ものは避けます。お見舞いに来て一緒に食事をするつもりか、病室からピザや店屋物の出前を取ったりする方もありますがどうかと思います、、、

今回もなんだかマジ・モード

これから、これから、、、ある日のこと。上品なお婆さんが恥ずかしそうに訊ねてきた。60位の女性なので、この歳の女性をババと言うと語弊があるが

彼女がいうのには
「わたし世間にうとくてネ、、、親友が入院してるんだけど。お見舞いには何が良いでしょうかね、皆さんどんな物を持って来てらっしゃる?」

親戚とかでもないし、親友といえど友達ならそう形式張った物でない方が良いだろうと思った。花がいいだろうな

「切り花とか、アートフラワーとか、お花にされたらどうです」
「花屋さんなら懇意のお店があるわ、、」
と、彼女は小さく微笑んで出ていった

上品でカワイイお婆さんだ

数時間後、彼女がやってくる姿を自動ドアの向こうに見つけた。ドアの向こうには自転車を必死に押す彼女の姿。その荷台につまれたものはそれは立派な

鉢植えの木

合唱

いまでも友達でいてくれるだろうか・・・

 

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