episode 13

三姉妹

診察を行うのは病院の中に限らない。患者さんの家へ赴き診察を行うのが往診だ。患者本人または家族より依頼を受け、往診するほかないと判断した場合には往診に行くことになる。持参する器材には限りがあるから来院してもらうのが一番なのだが、往診鞄を膨らませ先生と看護師は出かけていく

また定期的に患者さん宅を往診するのが「訪問診察」。対象は寝たきり状態だが入院の必要はない患者さんだ。1週間、2週間に1度といったように定期的に患者さん宅を訪れ診察を行う

こうした「訪問診察」を行う患者さんの数は増えている。高齢化の進行のせいといえばそれまでだが、、、以前は寝たきりになれば病院や施設に、最後の時までお世話になるしかなかったが、、、どうしても自宅で看取りたいなどの強い希望があった場合、できるだけ本人の意思を尊重し自宅療養を援助する

事務員の私はこうした往診に同行することはない。先生や看護師が、患者の自宅でどう患者と接しているのか、窺い知らない、、、

非常に残念だ

ということにしておこう

なかには夫婦で「訪問診察」をうける患者さんもある。家族は大変だ、2人も寝たきりの老人を看なくてはいけない。と、思っていたら3姉妹で「訪問診察」を受けている家族があった、、、

その家は、日中家族は不在。A子さん、B子さん、C子さんの3人が寝たきり状態で療養中。もっとも長女のA子さんは文字通りの「寝たきり」ではなく、なんとか自力歩行は可能。家の中ならつたい歩きで移動はできるそうだ

この三姉妹であるが、実はそろってかなりの肥満体。その3人が仲良く狭い部屋に並ぶ、、、

トド3匹

さて早速診察。まずは長女のA子さんから、手をとり脈をとる。血圧を計る。聴診器をあてて、、、と一通り診察をすませていく
「A子さん、大丈夫ですよ、脈も血圧も正常」
そしてB子さんに移る。同じように、手をとり脈をとる。血圧を計る。聴診器をあてて、、、
「B子さんも、大丈夫、、、」
ふとここで、異変に気づいたそうだ
いつもなら3人並んでるのに

一匹足りない

「あれ?C子さんは?」
いつもなら川の字に並んでいる三姉妹、今日は一人足りない
C子さんがいない

耳は遠いが比較的意志疎通が可能なのは最年長のA子さんだ
A子さんに訊ねてみる

「A子さーん、C子さんはどこ?、C子さんはどこなの?ね、A子さん!!」
耳が遠いA子さん。なかなか返事をしてくれない
「Aこさーん!C子さんは?Aこさーん!」
A子さんの耳元に顔を近づけ懸命に訊ねる、、、
と、その瞬間

ガラガララ・・・

隣の部屋とのふすまが開き
「ヲーイ!」
と元気良い返事
そこに現れたのは!TVを見ていた

A子さん

患者の取り違えはこうして起きる

 

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