episode 14

最後のお願い

糖尿病は高血圧、高脂血症とならぶ代表的な生活習慣病。昔は成人病といわれたが、最近ではその原因が加齢よりも食生活や運動不足、飲酒、喫煙といった生活習慣によることが大きいとされ、こう呼ばれるようになった。確かに子供の糖尿病も今ではめずらしくない

生活習慣病は自覚症状がないことが特徴だ。本人が気づかないまま進行してゆく。ある日、会社の健康診断等で指摘され、しぶしぶ病院へ受診することになる
本人は元気なつもりなので、全く異常を感じていない。実際に元気なのだが検査の数値が異常なのだ。当然自分の生活習慣が問題などとは夢にも思わない、、、

そういう私も煙草が止められない

今回は働きざかりのお父さんの話。年齢的には50を少し超え、働き盛り。一見すると武闘派の風貌をも漂わせるEさん、実は大の甘党。彼も会社の検診でひっかかった。糖尿病の精密検査を実施すると血糖値は300以上、HbA1cも2桁

「教育入院」となる。生活習慣を病院の管理の下に正すための入院だ。完全にコントロールされた食事、計算された運動。なによりも規則正しい生活、、、。きついと思う

ところがEさん、入院しても一向に改善しない

「おかしい?」
何かがおかしい、食事療法も運動療法も全く効果がない。こういう場合は本人への疑惑が深まる

「これより一斉持ち物検査を開始する!患者はベッドから離れて〜!」

という掛け声があったかなかったか、持ち物検査が行われた、、、
出てくる、出てくる、、、

羊羹の束

そのままナースステーションへ連行、鬼軍曹より懲罰を、、、いや婦長よりキツイお灸を据えられることになる

「Eさん、ご自分の病気がなんであるかわかってますね」
「・・・」
「入院の目的もご存じですね、あなたもそれを望んで教育入院を受けられたんでしょ!」
「・・・すいません」
「自覚症状もなく、入院生活を送るのは大変なのはわかりますが、こういうことをされると、、、看護師や栄養士、病院のスタッフが、あなたの手助けをしてくれているんですよ」
「はい、すいません。すいません」
「ほんとにそう思っていますか、もう少しがんばれますか」
「はい、」

仏の顔も三度まで

ま、一度くらいの過ちは許さねばならない
「がんばるというなら、もうすこしがんばってみましょー、、、ですが、これ(羊羹)は没収しますよ!」

Eさん、婦長を見上げ
「ェ、ェ。。」
涙目であった、目をうるうるさせ、
「そ、そんなー・・・」

軍曹、じゃない婦長は怯むことなく
「駄目です。これは渡せません」
毅然と最後通牒を突きつける

その瞬間!Eさんは床に額をこすり付けた
「頼みます、頼みます。これが最後ですから」
「ね、最後に一口、せめて一口だけでも、、、お願いです」
土下座である。大のオトナが額をこすりつけ、、、哀願

さすがに婦長も少々かわいそうになったか
「んー、、仕方ないわね。じゃ、約束ですよ。ほんと最後ですからね・・・
一口だけですよ」
その瞬間!背後に白い鳩が羽ばたき・・・

ジョン・ウー

のスローモーション映像のようにEさんの右手がのび、婦長の手から羊羹を奪い取るやいなや、、、

ガブリ!・・・羊羹一本丸飲みである

一口かよ?

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