episode 27

聞こえないってば・・・ (みいさんより投稿)

脳神経外科クリニックに勤めていたときのこと。院長は市の福祉関連事業にも携わっており、年に一度聴覚障害者(いわゆる 聾唖の方)を対象にした講演なども市からの依頼で行っておりました。その講演に出席した後には必ず数名の聾唖の方が患者として来院されていました

私が薬局勤務時、数名の聾唖の患者さんがいらしていました。その時の同僚に手話が出来る人があって、手話を教わり、私も少しは手話がわかります(手話わかりますと、胸をはって言えるレベルではありませんが・・・)

ある患者さんが来院された時のこと。私は、受付でその方の動き(必ず手が動いていて、手話だなとわかる)を見て、すぐに「聾唖の方だ」と分かりました
まず、問診表に住所と名前を書いてもらい「今日はどうしましたか?」と手話で尋ねました

どうやら風邪らしく、咳が出て熱もあるらしいことがわかりました。その症状を書きとめ、さらに「聾唖の方なので、筆談が必要です」とも書き加え、診察に回しました

診察前にナースが患者さんに問診をとり、血圧を測ります。さっそく一人のナースが患者さんのところに行きました。患者さんは血圧計を見ると「血圧だ」と分かったようで、腕を差し出しましたが、、、

ナースは、症状を詳しく聞こうとして、、、

「今日はどうしましたか?」

と、、、笑顔で訊ねています

『聞こえないんだってばー』

患者さんはもちろん聞こえないので、「?」の顔をして首をかしげています。ナースは何回か「今日はどうしましたか」と繰り返していますが通じるわけもなく・・・
するとナースは、突然、その人の耳元に顔をよせ、大きな声をはりあげて・・・

「きょう はー ど う し ま し た かぁぁぁあ??」

周りの患者さんが驚き「何!」とばかり注目しています

『だから、聞こえないんだってばー』

私はすかさずそのナースの所にメモ帳を持って行って、「紙に書いてあげないと、耳が聞こえない方なので...」と忠告するはめに

聾唖の方は、どんなに大きな声をあげても、もゆっくり話しかけても聞こえなません。大きい声で話したら聞こえると思っているのかしら...耳が聞こえにくいのとは話が違うのにね、私のメモはどうなったんだろ、、、と思いつつ、
受付に戻ると他の事務の子が一言

「聾唖の方や、ゆーてんのに、、、

アイツ聾唖かよ(ナースの事)」

 

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