episode 53

のほほん、のほほん−いとしのSさん(2)

僕の勤めている病院は総合病院ではない。個人の開業医でもない。郊外に位置しており病床は190、1日外来数は350人ぐらい

他に、2つの診療所を開設している。僕は診療所の経験がないから詳しいことはわからないのだが、診療所の雰囲気は、よく言えば「家庭的」だそうだ。よく耳にするのは、常連さんは受付を

顔パス

で過ぎていくということで、人の名前を覚えるのが苦手な僕にはとても勤まりそうもない。もっとも、話に聞くだけで実際はどんな感じなのか、その雰囲気を、正確に知っているわけでもない

そんな診療所の一つで働くS事務長の話を連載しようと思う(以前紹介したあのS事務長)。 Sさんは今日も「家庭的」な雰囲気のなか、患者さんからも、職員からも愛されて、元気よく働いている・・・ハズだ
実は、S事務長は心臓に持病を持っているらしい

不整脈

だそうだ。それほど重篤ではないのだが、診療所の事務長ともなると責務も大きい。また本人もいつまでも若くはないから、年々老いていくにしたがい、発作に襲われることもたびたび、仕事中に気を失いかけたことも何度かあったとか聞く

不整脈

つまり脈が乱れ、血液が身体に規則正しく送られないために起きる種々の症状

診療所の内科医は病院から交代で出向いているのだが、病院長であるS医師もそのなかの一人。専門は循環器(心臓)、当然S事務長の主治医となった。S院長の腕の見せ所、はりきって続々と精密検査の指示・・・

トレッドミル
UCG
24時間心電図

てんこ盛り。いたれり尽くせりなのだが、残念なことに重篤な異常を認めず
、ほとんど「異常なし」の結果に不満のS院長曰く・・・

「検査時は気が張っているから
心臓も規則正しく働くものなんだ・・・

ということは!・・・

仕事中に倒れるとは
仕事中に気が張ってないからダ!
事務長という任にありながらどういうことだー!」

と散々な言われよう

結局は後日実施したカテーテル検査で「房室ブロック」を認めた

確かに、本当に、具合が悪かったんだ・・・らしい

もっとも、当の本人はというと仕事中に何度か倒れそうになって、実際に倒れてもいるんだけど、全く気にはしていない様で、「不整脈用剤」を処方されていても服用していない。その理由は、薬を飲んでると

「心臓がバクバク、、、
一生懸命働いているのが・・・
セワシナイ!」

とのこと、心臓も休み休みの方が本人はイイそうだとか

S院長によると、とにかく(心臓を)休ませない、気を張らせたままにしておくことだそうで、周りの職員には以下の点に注意しろ!とのお達しがでた。 常に・・・

やかましく
まくしたて
休む間もなく
仕事を命じ
息をつかせず
ドキドキさせ続けること

かくして診療所の事務長は今日も多忙である

後日、24時間心電図の結果を見たY副院長はこういったそうだ

「あら、夜は心臓も一緒に眠ってるわね〜」

 

そんな
のんびり屋のS事務長に
信じられない悲劇が襲う!!

乞うご期待

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