episode 61

場外乱闘はこれからダー!

パーン、パ♪パーン・・・♪

あーっ!っきしょう
レフリー!チョークだ!チョーク攻撃だ
カウント!1・2・・オゥーォォ!!

どよめく歓声、手に汗にぎる攻防、華麗なる技の応酬、そんなプロレスが大好き。今流行の「総合格闘技」とは違う「プロ」の試合、思えば小さい頃はTVの前にかじりつきだった。小学生の頃に同じようにプロレスファンだった祖父に連れられ、生でプロレスを見る機会を得た。全身鳥肌状態で叫びまくっていたことを憶えている

大学生の頃には数々のバイトをしたが。プロレスのバイトはまさしく羨望のバイト。内容は会場の設営と会場警備、この設営が結構キツイ。半日がかりで3連のパイプ椅子を延々並べていく、そして開場とともに警備の仕事に就く
この警備の仕事こそが垂涎モノで、選手が入場してくる花道の警備をするのだが、まさにレスラーと共に会場を行進し、ファンが押し寄せるのを押し戻す、、、

血沸き

当然、狙いは外人選手側の通路。日本人選手の入場は粛々と地味なのに対し、外人選手の入場はパフォーマンスが派手だ。中でもヒールと呼ばれる選手達の入場には

肉踊る

一緒にバイトをしていたO先輩は、客席に雪崩れ込もうとしたシン♪*1)を防ごうと、観客との間に自らの身体を挟み入れた。そこへ振り下ろされる、、、

サーベル攻撃

思わず顔の前にかざした右手を直撃。親指の爪が真っ二つ割れた。完治後も低気圧が近づくと親指がうずきだす、、、シンに割られた爪を持つ男として、代々語り継がれる事になる

羨ましいなー

そういう僕にも一つの思い出がある。あのブロディ♪*2)に追い回されたのだ。ヤツは鉄の鎖を振り回しながら花道をそれ、客席へ飛び込んでいく、3連パイプ椅子など全く意に介さず、蹴散らしつつ・・・

ガチャ、ガチャ、ガチャ
ドシン、ドシン、ドシン

悠々と迫りくる。僕はとてもO先輩のように体を投げ出すことなどできなかった。逃げるしかない!後ろを振り返り、、、仰ぎ見る。そこにはビルを倒しながら進み来るゴジラがいた!右に曲がれば右に、左に曲がれば左へと、延々追い回された。僕はただただ

客を突き飛ばし

逃げまどうしかなかったのだ。あの時、仁王立ちに立ち止まり、小さな僕の額で鎖を受け止めていれば、、、低気圧が来る度に額の

月形の傷

が疼く、、、ブロディに額を割られたオトコとして、末代まで語られたに・・・って、死ぬっちゅうねん!・・・ 今は亡きブロディを思い起こしつつ

天国のブロディに合掌

僕にとってブロディはファンクス♪*3)に次ぐ僕のヒーローだったのだ
ヒールとしてやってくる外人選手は、その誰もが、凄まじく恐ろしかった。彼らを形容するコトバは、未だに忘れない

銀髪の吸血鬼
鉄の爪
白い魔王
千の顔を持つ男

そして・・・

まだら狼

あ、これは日本人か・・・

特にヒールと呼ばれた選手達のプロ根性には脱帽。頭にターバンを巻きひげを生やし、サーベルを口にくわえ登場する一人のインド人。そう彼こそがインドの狂虎、タイガー・ジェット・シン。額に何本もの傷後を浮かばせ、白いパンツに黒い肌、異様に輝く二つの目。黒い呪術師ブッチャー♪*4)。 この二人がタッグを組むなんて、まさに凶器、、、狂気の沙汰。こんなのとは誰も戦いたくはない

ブッチャーとの最凶タッグといえば「ブッチャー&ザ・シーク組」を忘れてはいけない。ザ・シーク(*5)とはアラブの怪人、コイツは火を噴く!火炎攻撃。もはや特撮番組だ。対するはザ・ファンクス!テリー、ドリーの兄弟。こちらは正当派最強タッグ。「最強タッグ戦」での両組の戦いの凄惨な光景が今でも悪夢となって蘇る、、

ブッチャーが「ドラえもんのポケット」であるステテコパンツから取り出したのは、フォークだった!それを逆手に持ち、テリーの右腕に振り下ろす、振り下ろす、

グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ

見る見るうちにテリーの右腕は赤く染まっていく、対照的に爛々と輝くブッチャーの・・・つぶらな瞳

グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ

白いジャングルに点々と赤い花が咲く。その花びらは、ぼたぼた音を立て散り開いていく、、右腕に突き立てられるステンレスのホーク、筋肉も抉られて・・・

グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ

グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ

グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ
グサ、グサ、グサ

今、僕の目の前にはブッチャーがいる。受付のカウンター越しに、、、前に座っている50歳前後の女性患者の右手には、鈍く輝くボールペンが、それは、何度も、何度も、振り下ろされ、そして彼女の目はやはり異様に輝いているのだ

鳴り響くゴングを頭の中に聞きながら・・・

カン☆カン☆カン

今度こそはと、この身を投げ出す僕


(*1)タイガー・ジェット・シン。インドの狂虎の異名をもつ、昭和48年に新宿で買い物中の猪木夫婦を襲った「新宿路上襲撃事件」は記憶に新しい
(*2)ブルーザー・ブロディ。ゴジラではなくキングコング(超獣)の異名をもつ。 フットボール選手から新聞記者、そしてプロレスラーに。ハンセンとのタッグは最強!1988年、プエルトリコの会場で、ホセ・ゴンザレスに刺されて死亡
(*3)ザ・ファンクス。ドリー・ファンク、テリー・ファンクの兄弟チーム。それぞれが世界最高峰NWA世界王者でもあった。あのテーマが聞こえると回り出す人も多かろう
(*4)アブドーラ・ザ・ブッチャーブッチャー。吹けよ風、呼べよ嵐!黒い呪術師の登場だ。彼こそヒール(悪玉)の鑑である。得意技は奇声とともに発する地獄突き。未だ現役
(*5)ザ・シーク 。アラビアの怪人。アラブの大富豪という出で立ちで登場した彼だが実はアメリカ人。うさんくささがたまらない

下線の♪マークつきの文字にはmidファイルがリンクされています。回線の速度によっては時間がかかるかもね<(_ _)>・・・特にシンとブッチャー!

参考:ミック博士の昭和プロレス研究室
    the 80s Prorestring

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