episode 63

子供のキモチ

当院にはあいにく小児科がない。数年前までは大学からの支援を受け診療を行ってていたが、ある日突然に、医師の手配ができなくなったと支援を打ち切られた。 「小児科」というのはリスクは高いが報酬は微々たる物。ただでさえなり手が少ないのに『少子高齢化社会』の影響もあってか、医師のなり手はますます少なくなっていくようだ
しかし、子供の診療が減ったかといえば、そうでもない。整形外科分野であったり耳鼻科分野であったり、また緊急時には診療拒否を行うわけもない

さて、小児科の範囲だが、実はそれほど明確ではない。当院では小学生以下を小児科とし、中学生からは大人と同じ扱いにして内科で診療を行う
よく具合の悪い子供に代わり親が電話してくるのだが、、、

「子供が熱を出して・・・」

「すいません。当院には小児科がないので・・・」
「あ、内科じゃダメですか。内科でいいですよ」

小児科がないので、こちらは申しわけなさそうに断りをいれることになるが、大概の親は内科で診てもらえないかと、食い下がる。 ま、子供といっても中学生かも知れないし・・・

「おいくつの方でしょうか・・・」

「ワタシ?ワタシですか?」

誰もあんたの歳は聞いていない

「子供さんの年齢です。診察を受けられる方の年齢をお聞かせください」

「28です」

あ、子供さんって、子供はいくつになっても子供だろうが、ちょっとどうかと思う。 38度の熱発で救急車で搬入されてきた33歳の男性もあったが・・・心配した親が救急車を呼んだとのことだった

その日の夕方。救急隊から連絡を受けたO主任は、患者は3歳であったが足底の切創、約1cmということで、搬入を受け入れた。整形外科の医師もおり、対応できると考えたから。幸い、傷はそう深くなく、プラスチック片によるもので、汚染もなさそう。1針縫合し抗生剤処方となる

頃合いを見て、父親に「初診申し込み書」を記入してもらった。本人さんの基本情報を確認するとともに、簡単な問診欄もあるのだが・・・

解る範囲でお応え下さい

Q:現在治療中の病気はありますか

ナシ

Q:血縁者に生活習慣の方がありますか

ナシ

Q:お酒・煙草は

ナシ

患者は3歳だ

Q:最後ですが・・・
癌などの悪性疾病の告知を希望しますか・・・

ハイ

全て、息子になったつもりで答えてみたと

親の気持ち子不知


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