episode 73

夜の底に忘れられたモノ(2)

ピ・ピ・ピ

さてと、昨年も積雪の時に、その時には除雪に精を出し過ぎてのことだったが、同じように雪が降り続いた日に、腰を痛めたバカな男。学習能力がないのかと嘆くなかれ・・・

人間の記憶力なぞ

タカが知れているのだ。人間は記憶する以上に多くを、忘れているはずである。「あぁ、憶えとかなきゃな・・・」なんて、注意しなきゃならないこと自体が、自分の記憶を信用してないからじゃないか、まして年を経れば・・・

ピ・ピ・ピ

年を取れば取るほど人生のモノサシは長くなる。忘れていくとしても記憶の量も増える。記憶が増えれば思いも寄らない出会いも減る。全体の中の1つにすぎない。その全体が増えるのだから、長く人生を生きる者とって、追加される物事はなかなか記憶に残らない・・・

ピ・ピ・ピ

大したコトじゃないのですよ!
そんなモノの1つや、2つ忘れてしまったって!!

ピ・ピ・ピ・・・

ウチの往診部の面々は、実に何でも忘れて来るのです。患者の家族が病院に届けてくれるのですが、ある日は聴診器が届いたし、ある日は血圧計が届いた。そんな時に往診部はというと、往診先(訪問診察)が複数あるので大概は病院に戻っていません。その後の患家でどうしてるのかと思うのだが・・・

「あれーそうだった?(笑)」

と気付かずに帰ってくるのだ。どうやら備品は複数用意してあるようで特に困らないらしい。慌てて届けてくれる患家の家族にはなんだか申し訳ないです

ピ・ピ・ピ・・・

そして、僕が今日は患者として病院に来てみれば・・・

「あれ?体温計は?」
「え?無い?」
「無いわねー」

そうなのだ。何件目かの家で患者の脇に差し込み
そのまま・・・
鳴り続ける体温計の音はアナタに聞こえるでしょうか

さてさて、今頃、

何度になってると思う?

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